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アウトプットする際に必ず読んでおきたい本:『理科系の作文技術』

3.11が発生した直後、日本の国土だけではなく、日本人の心も大きく揺さぶられました。

Twitterの登場で、誰もが発信者となり、ダイレクトに地域の声が飛び交いました。

 2011年5月上旬に自分は大阪より福島、石巻に数日間滞在したのですが、Twitterのお陰で現地や周辺の情報をリアルタイムに確認することができました。

 Twitterなどのネットからのモヤがかった情報から主観が形成され、更にその誰かの主観から自分のトラウマ等の投影をミックスして主観が作られる、といった光景をTwitter上で見ることも多くなりました。

主張が事実にすり替わり、何を判断基準とすれば良いのか分からない状態。

多くの人が”疲れ”を感じたのではないでしょうか。

自分はこの”疲れ”は新しい環境に進む際に生じる筋肉痛のようなものだと捉えています。

不安を原動力として何か行動を起こすこと自体は悪いことだとは思いません。

ただ常日頃から情報を読む力と語る力はしっかり身につけておくべきだと感じました。

モンスターたちは誰の中にも棲息しています。

気づかぬまに成長するのです。

消し去ることはできません。

自分ですから。

しかし成長をコントロールすることはできます。

それは”気づく”ことです。

自分の状態を。

そのための具体的な一つの方法として、ある本の一部分を簡単に紹介します。


—–理科系の仕事の文章に関する限り、心情的要素を含まず、政治的考慮とも無縁で明快を旨とすべきである。—–

『理科系の作文技術』
著者:木下是雄

事実と意見の区別

意見と事実をすりかえてはならない。
論理の組み立てがグラグラになってしまい、不当な結論が導き出されることに繋がる。

米国では以下の教育が行われる。

 

米国で小学校五年生用に編集されたPatterns of Language より

 

・ジョージ・ワシントンは米国の最も偉大な大統領であった。

・ジョージ・ワシントンは米国の初代の大統領であった。

どちらの文が事実の記述か?
もう一つの文に述べてあるのはどんな意見か?
意見と事実はどうちがうか?

小学校四年生用のPatterns of Language より

事実か意見か

・この背の高いアメリカ人は世界でいちばん機敏な男でした。

・『ハワハニの新しい学校』というのあるお話の題です。

どちらが事実の記述ですか。事実とは何でしょう。事実と意見は違いますか。
事実と意見の例をあげてごらんなさい。
次に書いてあるのはどれが事実でどれが意見ですか。

1. 私たちアメリカ人はほかの国の人より機敏です。

2. このお話によると、ジョゼフは小屋に住んでいました。

3. 私たちご読んだのはすばらしいお話でした。

4. この島の土着民は争いを好まぬおとなしい人たちでした。

5. 彼らの国のことばはおかしなことばです。

事実: 証拠をあげて裏付け可能なもの。
意見: 何事かについてある人が下す判断。

大学のイングリッシュ・コンポジションの教科書より

スミスの犬は羊を殺す(羊を殺す犬だ)。
は判断であり、

わたしはスミスの犬が一匹の羊を殺すのを見た。
が事実の記述である。

また、
大学のフットボールは衰微しつつある。
は判断であって、

多くの大きな大学では、フットボール・チームの経費が入場料収入を上回るはやさで増加しつつある。
は事実の記述であるといえる。

事実とは、意見とは

 

事実: 評価は真か偽かのどちらか。二価- two-valued。
意見: 評価は複数並立する。多価- multi-valird。

明快・簡潔な文章

・一文を書くたびに、その表現が一義的に読めるか。
  他の意味に取られないか。

・ハッキリ言えることはズバリと言い切る

・なるべく短い文章を構成する
  読む方の時短にもなるし、より言いたいことが明確になる

文の構造と文章の流れ

理論物理学者レゲットのいうこと

〜科学英語の書き方 日本の物理学者のために〜(1966年)

逆茂木型画像

・逆茂木型の文章を書いてはいけない

 日本語ではその内容や相互の連関がパラグラフ全体を読んだあとではじめてわかる書き方が許される。
  英語ではこれは許されない。一つ一つの文は読者がそこまで読んだことだけによって理解できるように書かなければならない。

・少々くどいと思っても論理の鎖の環を省いてはいけない

 日本語は読者が自分で補って読んでくれるであろうことは省略することがある。
英語の論文でもこのようなことはないことはないが英語国民は「明白でない」よりも「くどい」をよしとする。

日本語もできるだけこれらよ要請を満たすように書くべきだと著者の木下さんは言っています。

・一つの文の中には二つ以上の長い前置修飾節は書かない。

・修飾節の中のことばには修飾節をつけない。

解決策
・長すぎる文を分割する。
・前置修飾節が修飾していることばを前に出す

はっきり言い切る姿勢

・ぼかしことばをできるだけ削る
 ほぼ、約、ほど、ぐらい、たぶん、ような、らしい、を入れたくなるたびにそれが本当に必要なのかどうかを吟味する習慣を確立する。


理系でなくとも、文章を伝わりやすく完結に作り上げるスキルは必要です。

初版が1981年と古いものですが、現代でも充分通用する内容だと思います。
 一部分例題として理系の文章が引用され体感的に読みにくい部分もあるかもしれませんが、そこは軽く読み飛ばしても本質は掴めるでしょう。

とても分かりやすく書かれているので是非読んでみて下さい。


Djembe&vocal
Kackey@dabigtree

Yamandara



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