2026年8月23日、東京藝術大学にて開催された日本声楽発声学会 2026年度夏季研修会に講師としてお招きいただき、
「Plant Music × Voice Resonance
植物音楽と声の共鳴
〜Plant Musicが拓く 発声・表現・教育・研究の可能性〜」
をテーマに、講演・演奏・ワークショップを行いました。
今回は、植物音楽とは何かを説明するだけではなく、実際に植物から生まれる音を聴き、そこに人間の声を重ね、参加者自身にも声を出していただく「体験」までを含めた90分のプログラムとして構成しました。
植物の電気的な変化を「音」として聴く
私が使用している植物音楽デバイス「Bamboo」は、植物に接続したセンサーで電気的な変化を取得し、それをもとに音へ変換していきます。
最終的に私たちが耳にするものは電子的に生成されたサウンドです。
しかし、その音を生み出す起点には植物があります。
私はこのPlant Musicを、単に「珍しい音を出す装置」としてではなく、
人間が植物や自然との関係をもう一度感じ直すための、一つのインターフェース
として捉えています。
今回の講演では、まずPlant Musicそのものを聴いていただいたうえで、私自身がこれまでどのように音楽作品へ取り入れてきたのか、実際の音源とともに紹介しました。
Plant Musicは、作品の中でどう使えるのか
Plant Musicの音をできる限りそのまま活かして制作した作品。
そして、声やジャンベなど人間による演奏とPlant Musicを融合させた作品。
異なる事例を聴き比べていただくことで、
「どの音が植物音楽なのか」
「人間の演奏と組み合わせると、どのような音楽になるのか」
を実際の音として体験していただきました。
さらに会場では、植物音楽と私の声による即興演奏を行い、その後、オリジナル楽曲にPlant Musicをリアルタイムで重ねる実演も行いました。

Plant Musicは、完成された一つのジャンルではありません。
だからこそ、演奏者や研究者、教育者など、
扱う人によってまったく違う使い方が生まれる余地があると私は感じています。
最後は、会場全体で「声」を重ねる
今回、私が特に大切にしたかったのがワークショップです。
説明を聞くだけではなく、参加者の皆さん自身にも声を出していただきました。

呼吸し、身体を使い、声を響かせる。
そして、一人ひとりの声を重ねていく。
そこにPlant Musicが加わります。
「植物の音」と「人間の声」。
どちらかが主役になるのではなく、同じ空間に存在する音として耳を澄ませてみる。
言葉で説明する以上に、実際に体験することで初めて感じられるものがあります。
今回の講演では、その時間を何より大切にしました。
全国から、さまざまな世代・専門性を持つ方々が集まる
今回印象的だったことの一つが、参加された皆さんの幅広さでした。
関東だけでなく、大阪や東北など全国各地から参加者が集まり、声楽・発声に関心を持つ方、研究に携わる方、実際に音楽活動をされている方、東京藝術大学の学生など、さまざまな立場・世代の方々にPlant Musicを体験していただきました。
なかには、東北からお母さまと一緒に参加されていた高校生の姿もありました。
学生から専門家まで、異なる世代や背景を持つ人たちが同じ空間に集まり、植物の音に耳を澄まし、自らの声を重ねていく。
その光景そのものに、今回このテーマを学会という場で扱う意味を感じました。
また、私の前の講座を担当されていた大阪芸術大学の先生もPlant Musicに関心を寄せてくださり、最後のQ&Aでは質問をいただきました。
声楽、発声、音楽教育、研究、実演。
それぞれ異なる専門性からPlant Musicを見たとき、私一人では思いつかない問いや可能性が生まれてきます。
今回の講演は、植物音楽について何か一つの「答え」を提示するというよりも、
Plant Musicという素材と体験を専門性を持つ方々へ投げかけ、そこから新しい問いを生み出す場でもあったように思います。
私は研究者ではなく、アーティストである
今回、専門的な研究に携わる方々の前でお話ししたことで、改めて自分自身の立ち位置についても考えました。
私は研究者でも批評家でもありません。
私はアーティストです。
私ができることは、作品をつくること。
そして、人が実際に聴き、声を出し、身体で感じることのできる**「体験する場」をつくること**だと思っています。

私はPlant Musicについて、すべての答えを持っているわけではありません。
むしろ、私自身の使い方も数ある可能性の一例にすぎません。
だからこそ、もっと多くの人にPlant Musicの存在を知ってもらいたい。
音楽家だけではなく、研究者、教育者、医療に携わる方、企業、そしてこれまで植物音楽とはまったく異なる領域で活動してきた人たちにも触れてもらう。
そうすれば、私自身では思いつかなかった使い方や研究テーマ、作品、体験が生まれてくるはずです。
Plant Music × Voice、その先にある可能性
特に私は、人間の声と植物音楽の関係に大きな可能性を感じています。
声は、人間が身体そのものを使って生み出す最も根源的な表現の一つです。
そこに、人間とは異なる生命である植物を起点とした音が加わる。
この二つが同じ空間で響くことで、何が起こるのか。
芸術作品としての可能性はもちろん、
生命を感じる教育。
自然とのつながりを考える体験。
食や植物との関係を見直す食育。
孤独や、人と人とのつながりについて考える場。
発声や音楽教育との融合。
そして、これまでにない研究やリサーチ。
まだ私自身にも見えていない可能性が、数多く存在していると思います。
だからこそ、アーティストである私が体験の場をつくり、そこで生まれた問いを研究者や専門家へ渡す。
研究から新しい知見が生まれれば、それをまた作品や体験へと還元する。
そんな循環をつくることができれば、とても面白いと思っています。
Plant Musicを、もっと開かれた場所へ
今回、日本声楽発声学会という専門性の高い場でPlant Musicを紹介する機会をいただけたことは、私自身にとっても大きな経験となりました。
そしてこれは、完成ではなく一つの始まりだと思っています。
大学、教育機関、研究機関、企業、文化施設、アートプロジェクトなど、さまざまな領域の方々とPlant Musicを介して出会い、新しい問い、新しい作品、新しい体験をつくっていきたい。
Plant Music × Voice Resonance
植物の音と、人間の声。
そこから何が生まれるのか。
これからも、実践しながら探究していきます。
講演・ワークショップ・デモンストレーションについて
Kackey@dabigtreeでは、Plant Musicと声・即興演奏を用いた講演、演奏、ワークショップ、デモンストレーションを行っています。
大学・研究機関・教育機関・企業・文化施設・各種プロジェクトなど、目的や対象に合わせたプログラム構成も可能です。
また、Plant Musicを活用した研究、教育実践、作品制作、異分野との共同プロジェクトについても、ぜひご相談ください。
お問い合わせ:Kackey@dabigtree Official Website

