ソニーに42年間勤務し、CD、ワークステーション「NEWS」、AIBOなどの開発を手がけた天外伺朗(本名:土井利忠)さんを知ったのは、ちょうどネイティブアメリカンについて興味が出ていた頃に梅田の本屋で著書の「イーグルに訊け」と出会ったのがきっかけです。
とても面白いバランスの人だなと。
そしてとても自然。
経営者に向けてのセミナーなど開かれており、その気づきをメルマガでシェアされています。
天外さんのメルマガを転載します。
改行、画像の挿入以外は原文のまま。
なおメルマガの末部にあるとおり、転載自由となっております。
天外レポートNo76(2013.11.27)
どこの会社でも、売り上げ目標、利益目標を作りますね。
ところが、山田昭男さんが創業された未来工業にはそういう目標が一切ありません。
全社的な目標がないだけでなく、個別のセールスのノルマも一切ありません。
企業理念もなく、従業員を評価することもなく、年功序列。
あるのは「常に考える」というスローガンひとつだけです。
いままでの経営学を学んだ方からは、「何といい加減な経営なんだろう」と思われるかもしれませんが、最新のリーダーシップ学を参照すると、山田昭男経営学というのはまさに時代の最先端をいっていることがわかります。
以下にそのご説明をしましょう。
企業経営に限らず、受験勉強でも夢の達成でも、私たちは明確な目標を設定して、
これは、とても有効な方法論であり、そのやり方で成功した人は身近に大勢いるでしょう。
この方法論を「目標努力型」と呼ぶことにしましょう。
ところが、たとえば「意識の変容」に向かう時、この「目標努力型」の方法論は使えません。
「意識の変容」というと、ほとんどの方は縁がない、と思われるかもしれませんが、何かのきっかけで、ものの見方が変わり、人生が大きく変化することをいいます。
重篤な病気を克服すると、ときに名経営者が生まれるなどがその典型です。
天外塾では、重病にならなくても「意識の変容」を体験し、名経営者に向かえるようにお手伝いしております。
もちろん姿形は変わりませんが、重病を経て変容した名経営者は、それまでに比べて一段と高い精神的なレベルに達しています。
このとき、「さなぎ」には「蝶」を想像する能力はなく、目標として設定することはありません。目標に向かって努力をするという方法論で進んでいると、いつまでたっても「さなぎ」
経営の世界では、「意識の変容」という言葉は耳慣れないと思いますが、宗教ではそれが本道です。
仏教でいう「悟り」に向かう時、修行者はたゆまなく、次々と「意識の変容」を続けていきます。
したがって、仏教の修行の方法論は「目標努力型」
たとえば、道元が説いた「只管打座」というのは、「
「涅槃に入りたい」「いい瞑想を体験したい」といった目的意識を手放して、ただひたすら坐れ、という坐禅の心得です。
こちらの方法論の特徴は、
「目標や目的を手放す」ことのほかに、
「結果に執着しない」
「そこで起きるプロセスを信頼し、プロセスにゆだねる」
「過去を悔やまず、未来に不安を抱かず、“いま・ここ”
などです。
この方法論を「いま・ここ型」と呼ぶことにしましょう。
意識の変容とか宗教的修行とかいうと、
それは、相手の監督がもっと勝ちたい、と思っている時・・・」と、いっておられました。
勝つというのは結果ですから、未来の話です。
勝つことに執着していると、意識は未来に逃げており、「いま・ここ」に存在できていません。
人間は「いま・ここ」に存在するときに一番力を発揮する事がよく知られています。スポーツの世界でも「いま・ここ型」
しかしながら、「オリンピックで金メダルを取る」
「志」というのは、どちらかというと方向性をあらわしており、結果と直接的には無関係なために「いま・ここ」に存在する事を妨げません。
強い「志」を持ち、なおかつ「執着」を手放す、というのが、今まで良く知られている「成功の王道」です。
ある意味では、「目標努力型」と「いま・ここ型」を上手に組み合わせている、とも言えます。
「執着」と「志」の違いを身体的に把握できれば、
横田英毅さんのネッツトヨタ南国では、売上、利益、規模は追わず、企業理念に向かって質の向上を目指しています。
長い年月を経て、結局売上も利益も後から付いてくるようになりました。
「志」を高め「執着」を手放す経営の典型でしょう。
ところが、山田昭男さんの経営学は「企業理念」はなく、「志」まで手放してしまうのです。
会社がどの方向に進むのか、経営者はノータッチという感じです。
「目標努力型」の要素はまったくなく、「いま・ここ」だけに集中した経営、といっても良いでしょう。
会社名が「未来工業」であるにもかかわらず、未来を志向していないのです。
天外塾の塾生が、あるとき山田さんに「未来工業」の「未来」
ひとことぼそっと「いまだよ」といわれたといいます。
おそらく山田さんは、とても本質的な事を掴んでおられます。
じつは「志」というのは、強力な推進力になるのですが、同時に自ら制限を
設ける、という要素も否定できません。
前述のように、「さなぎ」の目標が「蝶」になることを妨げることもあるのです。
思い切って「志」を手放してしまうと、もしうまくいけば、事前に自分で
思い描いた以上の高次元な成長をすることもあるのです。
プロセス指向心理学という新しい心理学の一分野を切り拓いた、A.ミンデル
の代表的な著作に『後ろ向きに馬に乗る』
馬がどこに行くのか乗り手は一切関知しない、という意味です。
ドッキングしたものであり、その背景には「宇宙の計らい」に対する
絶対的な信頼があります。
浅はかな人間の分際で、あれこれと思い患わなくても、宇宙は常に最適な道を用意してくれる、という老師の思想を取り入れています。
じつは、AI(Appreciative Inquiry)とかOST(Open Space Technology)などの最新の組織開発の方法論にも、まったく同じ思想があります。
組織がどの方向に進んでいくかは、ファシリテーターは一切関知しない、
そこで起きるプロセスを全面的に信頼する 、一切の指示命令はしない、などが原則です。
場合によったら、ファシリテーターは、現場からいなくなったりします。
ただし、ファシリテーターの心のありようは厳しく問われており、少しでも信頼が揺らぐとうまくいかない、あるいは自己顕示が出てはいけない、といわれています。
プロセス指向心理学やAI,OSTといった手法と、奇妙な一致を見出し、それを一冊の本にまとめるべく奮闘中です。
山田昭男さんの経営を全面的に取り入れて実行するのは大変ですが、
未来への不安や過去への反省に逃げないで、「いま・ここ」を意識することができれば、誰でも必ず経営の質が良くなることでしょう。
さて、以下はお知らせです。
1.「天外塾」現在募集中のセミナー
① ネッツトヨタ南国、横田英毅さんによる特別セミナー(第7期)
(残席僅か)
――「教えないから人が育つ」――
第1講2014年1月17日(金)
「一番大切なことは何か」
――成功する秘訣は問題を発見して解決すること――
第2講2014年2月14日(金)
「戦略としての人材開発」
――できない理由を探さない集団の実現に向けて――
第3講2014年3月14日(金)
「人が輝く人間性尊重の組織づくり」
――働く喜びと人間力――
② 「フロー体験」に接地するためのインナーチャイルド・ワーク(
第1講 2014年2月21日(金)(楽しい体験・つらい体験の瞑想)
第2講 2014年3月21日(金)(フォーカシング瞑想)
第3講 2014年4月18日(金)(インナーチャイルド・ワーク)
これは、「フロー」に入るための自己改造ワークです。
「フロー経営」を実行したり指導したりするためには、まず自分自身がしっかりと
「フロー体験」をしていなければいけません。しかしながら、多くの人が幼少期のつらい体験を通じて情動に蓋をしてしまい「フロー」に入れなくなっています。
このワークショップは、幼児期に遡ってそれを解消します。
③ 天外塾は、2014年度前期生を募集します(残席僅か)。
日程は、2014年4月11日、5月9日、6月13日、
7月11日、8月8日、9月12日の全6回(いずれも金曜日)。
④ 親子の葛藤を解消するワーク(第2期)
第1講 2014年5月16日(金)(親殺しの瞑想)
第2講 2014年6月20日(金)(内観瞑想)
第3講 2013年7月18日(金)(リバーシング・ワーク)
多くの人の多くのトラブルの底に、じつは「親子の葛藤」が潜んでいます。
それに対する的確なアプローチにより、
後継者問題に悩んでおられる方にもお薦めです。
天外塾2009年以降の卒業生のみが対象です。
⑤ 経営者のための運力強化ワーク(第4期)
第1講 2014年9月19日(金)(「死」と直面するワーク)
第2講 2014年10月17日(金)(ハイア―セルフと出会うワーク)
第3講 2014年11月14日(金)(「感謝の祈り」のワーク)
これ は、2011年から始めている「運力強化」
社内手続きのために「経営」という言葉を入れてくれ、
多かったので、タイトルを変えました。
名経営者と言われるような人は、往々にして大病を経験しています。それは偶然ではなく、
このワークショップは、大病にならずとも同様な「意識の変容」
天外塾2009年以降の卒業生のみが対象です。
⑥ 2014年4―6月に、「原田隆史の熱血教育塾」を開きます
(残席僅か)。
第1講 4月25日 「仕事と思うな人生と思え」
第2講 5月23日 「一寸先は、光です」
第3講 6月27日 「タイミング、イズ、マネー。今がその時」
ほとんど破綻していた大阪市内の中学校で、陸上部を指導し、7年間で日本一を13回達成。地域的に荒れており、暴力、売春、麻薬が横行する中で、「刑務所にいる父ちゃん母ちゃんに、日本一になった自分の姿を見せたい」と、あまたの子どもたちを
目覚めさせ、素晴らしい人生に導いてきた原田さんのセミナーは、教育関係者だけではなく、すべての人の心に大きなともしびをともすでしょう。
いずれも場所は東京、六本木の国際文化会館です。
上記、①―⑥のセミナーの「お申込みフォーム」です。
https://www.officejk.jp/
2.「天外塾」現在開講中のセミナー
① 天外塾、2013年度後期生。
日程は、2013年10月11日、11月8日、12月13日、
2014年1月10日、2月7日、3月7日の全6回(
天外塾の詳細、お問合せは下記。
https://www.officejk.jp/
officejk@onyx.ocn.ne.jp
3.大阪天外塾(PLA主催、開講中)
日程は: 10月25日、11月22日、12月20日
2014年 1月24日、2月28日、3月28日
(いずれも金曜日)
インフォメーションは下記の無料メルマガより発信。
https://www.tengeshiroh.com/
こちらの主催は、㈱office JKではなく、PLA株式会社
詳細はPLAにお問い合わせください。
〒553-0001
大阪市福島区海老江2丁目1-31 青山ビル7F
TEL:06-4798-0213 / FAX:06-4798-0210
フリーダイヤル:0120-50-3601
https://pla-samurai.jp/index.
4.その他の天外の講演会
①天外教育研究会 at 京都
「生きる力」の強い子を育てる
日時:2014年1月19日(日)
13:30~15:30(会場13:00)
場所:みつばち菜の花保育園
京都市右京区西京極午塚町90
参加費:無料
主催:生きる力実行委員会
問い合わせ:
みつばち保育園 075-383-5566
みつばち菜の花保育園 075-323-3878
Fax 075-392-0073
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以上
天外伺朗
(どうぞご自由に転送、引用して下さい)
https://www.officejk.jp
officejk@onyx.ocn.ne.jp