400年ほど前にシェークスピアって人が書いた『リア王』ってのを読んでいる。

正確には50年ほど前に福田恆存って人が訳した言葉を読んでいる。
  

 

それを2016年の年の暮れに読んでいる。

 

 

めちゃくちゃ面白い。

 

冒頭から。

 

 

道化「なぜ七つ星は七つしかないか、その訳はなかなか気がきいてきるのだがね。」

 

リア「それは八つは無いからだ。」

 

道化「然り、その通り、おまえさん、結構いい道化になれるぜ。」 

 

 

なかなかどうして、面白いやり取りだ。

 

 

道化は茶化し、はぐらかし、おどけながら、主人を励まし、反論し、無遠慮に間合いを詰め核心を突ら抜く。

 

 

皆悉く、心の中の道化の声に耳を傾けるべきだ。

  

 

老い、財産、名誉、焦燥、憶測、コンプレックス、噂、裏切り、正義、罰、行動、嫉妬、献身、愛。

 

 

登場人物すべてが一人の人間の心のありようのメタファー(比喩)。

 

 

これは喜劇か悲劇かの論議は太宰治あたりにやらせておけば良い。

 

  

二百頁弱であなたは鏡の中の己を覗き込むことになる。