僕たちはタテ×ヨコ×オクの3軸上は自由に行き来できるけど、時間は一定の速度で一定の方向に進む。
と思い込んできた。
いずれこの世界がパラダイムシフトを起こして時間軸上でも自由に動き出せるんじゃないか、
いやもしかしたら既に一定ではないのかも、
というイメージをいつしか持つようになった。
それをこのTENETは映画で見事に表現している。
2時半ある長編。
冒頭から、そして進むにつれてゾクゾクが止まらない映画だった。
時間の逆行と順行が折り重なる。
先駆的にビジョンを得たクリエイターが創ったこの映画が発信源となり、観客達は新しい感覚を発芽させる事になるだろう。
意識の拡張。
僕の予想では人類は、
宇宙空間に出てそれまで一定方向に働いていた重力から解き放たれ上下という概念が壊され意識が変容する、次に時間から解き放たれて更に意識が変容していく。
それまで絶対的だった身体的感覚が壊されるので先ず恐怖に襲われるだろう。
もしかしたらこの意識変容は同時に起こるのかもしれない。
“同時”という表現も、過去の表現になる。
そしてこの”過去”という表現も然りだ。
今認識できる言葉でそれを表現するのは限界があるけど、その限界をヒョイとジャンプして表現しうるのは音楽なんだろうなぁと音楽家の僕は思うのです。
僕が叩いたジャンベと歌は、過去からやってきた産物であると共に、今この瞬間、そして未来からやってきた音だ。
空間軸、時間軸、並行世界の軸上を流れるエネルギーが合わさった点。
音を出した瞬間に、空間の広がりと共に過去、今、未来に拡がっていく波紋。
昨年作った「Letter to you」という題名を付けた曲がある。
実はこの曲、「Letter to me」でもある。
“あの時の僕は今頃どこを歩いてるんだろう”という最初のフレーズは、どこか違う次元から自分自身が観えたビジョンから出てきた。
原因と結果、高いエネルギーから低いエネルギーに流れる不可逆性。
これらを超越した時に僕たちがどうなるのか。
楽しみです。
https://wwws.warnerbros.co.jp/tenetmovie/index.html