久米島。
ヤジャーガマ洞窟に1人で行ってきた。
事前にマップで調べた時からなんだか気になっていた。
ガマから出入りする時にいるから、と持たされたお塩を身に振りかけ、入り口の前でお辞儀をして進む。
ここはかつて風葬の場所で、ガマの入り口にはいくつかある壺の中に人骨がバラバラとあった。
駐車場に少し遅れて車を停めた熟年の男女の声が聴こえてきた。
いつかは自分もそうなる人骨様たちへ90度のお辞儀をし、目を閉じ挨拶をしてから鍾乳洞の入り口へ。
これか、、、と少し尻込みするが、ここに入る必要があるとメッセージが来るのであまり深く考える前にスマホのライトを点けて中に入った。
確かに、地底に繋がりそうな暗闇の洞窟。ゾワゾワする。
後ろの男女は中にはやってこないようだ。
少し広いスペースの所を見つけた。
いつも自然の中でやっているように、声帯、頭蓋骨、身体全体を震わせてヴォイスを発し、その空間の振動を味わった。
この感じ。
吸収して自分の唄声、ジャンベ、音楽に反映させる。
それ以上先へは進まず踵を返して地上へ戻ることにした。

地下世界で営まれている全てのものへの畏怖と感謝、そして地上への感謝が湧き出て来る。
引き戻す時にヒタヒタと感じる地下世界の怖さと地上に出た時の安堵は、亡き妻を取り戻すべく黄泉の国へ旅立ち、そして逃げ帰ってきたイザナミもこんな風だったのかなと思いを巡らす。
さて、地上が見えるガマの入り口に戻り、人骨様たちにお礼と挨拶をかねて「般若心経 -Heart Sutra-」でも歌おうかと思ったその時だった。
トントントントン。
リズムを打つ音が聞こえて来る。
それはやがて人が打っている音だと分かり、何か神事でもしているのかと思うと音は次第にこちらへ近づいてきた。
トントントントン。
1人のおじいが木彫りの杖を叩いてやっきた。
こんにちはと挨拶をすると
「どこから来られましたか?」
と聞いてきたので大阪からやって参りましたと答えた。
「ほうほう、ワタシは久米島から来ましたよ。」
と楽しげに笑う。
つられて自分も笑っていた。
「ワタシ誰だかわかる?」
と聞かれたが、あいにくまったく知らなかった。
「んー、ワタシこういう者。」と木彫りの杖を見せてくるので彫られた字を見やると
“久米島仙人”と読める。
沖縄には良く来るが久米島ははじめてだった。
なんだか久米島に行くことになり、このガマに1人で入り、このタイミングでこのなんかありそうな久米島仙人と名乗るおじいに会う。
このシチュエーションにテンションが上がる。
「このガマは久米島でナンバー2のスポットよ。ナンバー1はどこか知ってる?」
申し込んでいたボートで昨日渡った無人島のハテの浜だった。
「なんでナンバー1か知ってる?このガマに来たらみんなここが良いというけど、ハテの浜にあってここには無いもの。」
なんだ?と考える間もなく
「これ誰にも話したらいかんよ、実はね、、。」
と仙人は絶妙な間をおき、放った答えを聞いた瞬間、ギャハハー!と僕の爆笑が辺りに響き渡った。
まぁ、仙人が秘密というから秘密にしておこう。
しょうもない話だが、それは確かにという話だ。
こんな場所でこんな仙人に会えてる状況に興奮し、いつのまにか久米島仙人のツアーがはじまった。
あいにく自分は人を待たせているので10分ほどしか無かった。本当はこの鍾乳洞を抜けた先にあるトトロの森まで1時間から1時間半のツアーだったようだ。じゃあとりあえず初級編だけやってみようということになった。
仙人からライトを一本手渡され、先程1人で入った鍾乳洞に仙人の先導で入った。
仙人は上部を照らしてみろと言う。
照してみた。先程と対して変わらない。
今度は仙人がライトを照らすから良く見ていろと言われた。
するとどうだろう、
天井がキラキラと金銀に輝き出した。
、、、おおおお、、、、
キた、、、、、、仙人キた、、、、
めっちゃ金色銀色に光ってる、、、!!
どんな霊力をー!?
と思ったらライトの照し方にコツがあったらしい。
やってみたら確かに。
時間がないのでツアーはここまでだった。
駐車場まで仙人を帰り、それじゃあと仙人は自分の軽自動車で颯爽と帰って行った。
なんやったねん。
とりあえず連絡はつかないけど、仙人と会えるある時間と場所は教えてもらったのでまた久米島に来たら会えるんだろう。
1回目に洞窟に入った時はおっかなびっくりの洞窟。
だけど仙人と入った時は、同じ場所なのにそこは金銀に光輝くたいそう美しいプラネタリウムみたいなところだった。
なんだか学びをありがとう、久米島仙人。

これから泡盛の久米仙飲む時は思い出しそうだよ。

